精神的ケアと経済的安定が幸せのカナメ?

精神と経済的な安定があれば、そこそこ幸せになれるのではないか?

痛みには精神的状態が大きく影響する

 ペインクリニックの患者さんは精神科の患者さんとかぶると医者仲間の間では共通の認識になっています。実際に器質的な原因ではない疼痛というジャンルは、身体的に病気の原因を発見できない痛みというもので、精神的な病気が大きく関わってきますので、精神科の専門家が治療する場合が多いです。

国際疼痛学会での痛みの定義では、「組織の実質的あるいは潜在的な障害に伴う、あるいは、そのような障害を表す言葉で表現される不快な感覚あるいは情動体験」とやたらにあるいはでぼかした定義になっています。

要するに患者さんが痛いって言ったら痛いってことだよ。調べて原因がよくわからなくても嘘じゃないよ。

というような意味だと思います。

「痛い」と言っているのに「気のせいですよ」と言われたら、患者も怒り出しますが、ストレスのせいで自律神経失調症になったと言われると自分が嘘を言っていないことがわかってもらえたような気がしますが、痛みの定義としては、本人が苦痛に感じて、それが痛みだと思えば痛みなんです。

 

私は、気が小さくてチワワ犬のようにビクビクしています。小さい時に、喧嘩をする際にも、相手の痛さを想像してしまい思い切り殴ることができませんでした。大人になり、格闘技を少し習ったら、殴る人の拳や足も痛いし、殴られることがわかっていて、集中することができればある程度我慢することができることを知りました。

 

リウマチ体質

膠原病の一つである慢性関節リウマチは身体中に痛みが出て関節の変形や内臓までも悪くする免疫がおかしくなる病気です。

医療関係者の間では昔から、2型糖尿病患者は医者のいうことをきかない性格。リウマチ患者はネガティブでひねくれた性格と言われていました。

暴飲暴食、肥満がきっかけになる2型糖尿病患者が、節制することは難しいし、長年、痛みにさらされて体が破壊されるリウマチ患者の性格がネガティブになるのは当たり前の話ではありますが、

慢性痛に対してうつ病の薬が効くということも、そういう印象を強くする原因でした。

 

慢性痛に対して抗うつ薬が効く原因は2つあります。

①長期間痛みにさらされ、何もできない状態になれば眠ることさえもできない。当然抗うつ薬で完全される

抗うつ薬は下降性抑制ニューロンという痛みに抵抗する神経を活性化させる。

このことから、今では、抗うつ薬を鎮痛補助薬として使用されることになり、

精神がおかしかろうがそうでなかろうが、慢性痛のは抗うつ薬が効くということが広く知られるようになってきました。

 

また、うつ病心の風邪というキャッチフレーズが広まってから、精神の病気に対する偏見もちょっとだけ少なくなり、最近では、腰痛の8割は原因不明で、もしかしたら精神的な影響が大きいかもしれないとも言われ、ペインクリニックと精神科の領域がさらに大きく影響するようになった気がします。

 

精神と経済的安定

今回、かなりペインクリニックとは話が脱線します。

最近、年をとって幸せを感じることができる人がもっと増えるといいなと思うようになりました。

 

小さい頃は自分のことばかり、思春期は異性にもてたいと思いながら、昭和の競争社会で他人をうらやみ、蹴落とすことばかり考えていましたが、

やっと他人の幸せを願う余裕が出てきました。(だからといって何も実行していません)

平成、令和時代を生きる人には想像しにくいかもしれませんが、

昭和世代は、人が多過ぎて常に他人と競争させられていました。

バブル時代では、物があふれ、その一方で他人を蹴落とすことばかり教えられた人達の心は満たされず、ノストラダムスの大予言ブームで1999年の7月に人類が滅亡するのではとビクビクし、新興宗教が乱立しました。

その中で、いかれたオウム真理教サリンをばら撒き、大惨事を引き起こしましたが、

結局、1999年になっても人類は滅亡せず、バブルが崩壊しリーマンショックが起きて景気が低迷すると自殺者が増加しました。

 

そこで、私が学んだのは、衣食住に不安がある貧困状態では、幸せとか言っている場合じゃない。

でも、金銭的に恵まれていても、精神状態がおかしければ、地獄。

 

ギャングースという週刊モーニングに連載されている漫画を知っていますか?

虐待され親に捨てられた主人公たちが、生きるために犯罪者を相手に窃盗や強盗をする漫画ですが、原案は鈴木大介というルポライターによる家出少年少女の実話を参考にしています。

鈴木さんの本の中にはいわゆる社会の底辺と言われる人達がたくさん登場しますが、ほとんどが、貧困と精神疾患が少なからず影響していることが読み取れます。

家出して売春し薬物に依存する女性が不幸になるのは自業自得と思われがちですが、本人もその両親も知的障害一歩手前、精神疾患一歩手前、虐待や貧困など複雑な要因がからんでいることがわかるすごい内容でした。

たしかに、病気と認定されないギリギリの人が社会で生きて行くことは難しくそれを補助するシステムが少ないように感じます。

 

私は、将来の日本で、幸せと感じる人、もしくはそんなに不幸じゃないなと感じる人が少しでも増えるためには経済と精神的なケアに力を入れることが重要だと思います。

理学療法士作業療法士や栄養士、カウンセラーの重要性

現在、年寄りが増え過ぎて医療費がパンクしそうなので、国は、病気そのものを予防しようと肥満のメタボシンドローム予防とか寝たきりにならないようにロコモシンドローム予防とかに力を入れています。

でも、結局、儲かる方に人間は魅力を感じるので、高血圧、糖尿病、脂質異常症骨粗鬆症の売上が上がり、膝の人工関節置換をされる人が増え、内科医と整形外科医が忙しくなっています。(薬や人工関節は製造している会社がとても儲かりますから)

 

過労死をふせぐためにストレスチェックを行い働き方改革を促進しています。

その一方で、リハビリやカウンセラーの待遇が良くなっているとは思えないんです。

それらをチェックするお役所ばかり増えて、あなたの生活はダメだとかストレス溜まっているとかいうだけです。天下りが得するシステムだって聞きますよね。

メタボ対策には、タバコ禁止。食品販売の塩分制限。スポーツ施設の補助を行い、リハビリやカウンセリングを積極的に行う施設を増やすように保険点数を優遇したほうが医療費を削減できるのではないかと思います。

 

実際、なんだかんだいって体に害しかないと言われているタバコは税収がどうのこうので、いまだに公共の場を禁煙にするしないのでもめているし、味が濃くないと安い素材の料理がまずいから外食はみんな濃い味。リハビリは効果が見込める一部の患者しか適応でないし、カウンセリングは時間ばかりかかってお金にはならないので、自由診療でないと本格的に受けることは難しいのが現状。

 

私の身内には身体障碍者がいますが、生まれつき足が不自由なので、リハビリをやっても改善するわけではありません。だから、リハビリ病院に通うこともできませんが、だからといって歩けないので普通のスポーツジムに通うこともできません。

精神科の病院に通うのはほとんど統合失調症鬱病。この2つは一般的に内服薬で治療。

私の身内には強迫性障害といういわゆる潔癖症で苦しむ人がいますが、内服薬の効果は少なく認知行動療法というカウンセリングが比較的有効です。

カウンセリングは薬より儲からないので、(高額な料金を請求する怪しいところはあっても)積極的に行う施設はめったにありません。

 

子供達が日本の希望

若い人が、選挙に行かないせいもあるかもしれないけど、

日本には圧倒的にお年寄りが多いわけで、病院に行ってもあまりお金がかからないし、お年寄り専用の公共施設で温泉やリハビリセンターはたくさんあっても、同じような症状を持つ年齢の若い障害者や子供は専用の障害者施設しか利用できません。

お年寄りからすれば、昔は、両親の面倒を子供は行うのは当たり前で、

その代わり、お孫さんの面倒をおじいさんやおばあさんが見て助け合っていたわけで、

舅や姑と一緒に住むのが嫌で共働きしておきながら、保育園が足りない程度は贅沢だなんて思う人もいるかもしれません。

 

でも思うんです。子供に力を入れた方がいいと思います。

保育園の数とか目立つことだけでなく、

児童虐待を防ぐ施設とか児童相談所とか児童養護施設とかそういうやつに力を入れたほうがいいと思うんです。虐待の事件があるとそういう機関の落ち度が責められがちですが、そもそも人手不足で専門家でもない人が職員だったりするらしいですね。

 

また、子供に障害があっても見逃されることで虐待される原因になることもあるそうです。子供の病気をしっかり診断、治療できる医療機関も数少ないです。

 

子供の医療費が無料という地域はありますが、なんだったら、学校の教育費や給食費が無料だったら、お家で虐待されている子供も死なないで済むんじゃないかとも思います。

 

それと会社でどんだけストレス受けているのかなんてストレスチェックを無理やりさせるくらいなら、どんな人でも簡単にカウンセリングを受けることができる仕組みが欲しいです。認知行動療法コーチングのようなものって意識高い系のお金持ちばかりが利用している印象があります。

 

精神的な疾患って本人も周囲の人もめちゃくちゃ苦しみますし、負の連鎖がひどいです。

負の連鎖が改善されれば、虐待とかいじめとかも減りそうな気がします。

 

とはいってもお金がないと何もできない

いろいろいっても財源がなければ何もできません。

うつ病の患者さんに医者ができることは話を聞いて薬を出し、ときに入院させて心身を休めてもらうことだけです。

うつ病で会社をクビになり、金銭的に生活できない状態であれば、医者ができることは限られています。

お金持ちもうつ病は病院で治療できますが、貧困は病院で解決できるものではないのです。

 

ペインクリニックであつかう慢性痛が完治することはほとんどなく、一時しのぎでしかないことに力不足を感じます。

先輩は、一週間でも数時間でも、苦痛がとれることを願ってペインクリニックに来てもらっているのだから意味のあることだと言ってくれます。

経済的に好調で障碍者や子供達が大切にされる日本になるといいなと思いながら、とりとめもなく書き綴ってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腰や膝が痛いならやせて欲しい(患者さんへ)

  • 太っていたら膝や腰が痛くなるのは当たり前
  • ダイエット感覚で手術をするな(手術は痛いしリハビリもたいへん)
  • 手術は1回で済むとは限らないし(人工物を入れる手術は)まれに死ぬ
  • 点滴するにも麻酔するにも太っていると難しい

高齢化社会ですから、腰が痛くない人の方が珍しいくらいです。

病院には、腰、股関節、膝の手術をする患者さんがたくさん来ます。

その中には、リウマチなどで痛みや変形が強く神経もダメになってしまって、歩けなくなったり、

おしっこやうんこもコントロールできなくなって、手術をせざるを得なくなった人と

痛いと言ったら、すぐに整形外科医から手術を勧められたという人がいます。

 

歩けないとか神経がおかしくなったとかいう場合は手術以外に治療法がない人もいます。

神経がおかしくなったらすぐに治療をする必要があります。

 

そうでない場合には、

整形外科医と患者さんに強く言いたいことがあります。

 

手術前にせめて、痩せて欲しいし、タバコをやめて欲しい。

 

腰、膝、股関節などを悪くすると寝たきりの原因になるので、

国としてもロコモティブシンドローム運動器症候群を減らそうとキャンペーンしています。

 

年寄りになっても運動して筋力つけろとか、

健康診断でお腹まわりの大きさを測ったりとかしています。

 

それはいいことだと思いますが、

その割に国がリハビリにかけるお金が少ないように感じますし、

病院が儲けるためには、手術の割合が圧倒的に大きいです。

 

整形外科的に患者さんの骨の変形が強く、

痛みがあれば、専門分野の手術で治してあげたいと思うし、

それで儲けようとするのは当たり前の話です。

 

ただ、そこで気になるのが、手術を行うほとんどの人が

かなり太っていることです。そして痩せようとしないことです。

 

典型的なのは、太っていて、高血圧、脂質異常症、糖尿病があり

タバコも吸っている。

 

内科的なことは整形外科の専門でないし、

痩せろとか禁煙しろとか言っても

患者本人が言うことを聞かないと整形外科医は言います。

 

患者も食べていないのに痩せないし、

痛くて運動ができないし、

痛みをまぎらわせるためにタバコを吸ってしまうと言います。

 

手足が動かなくなったり、死んでしまうような病気でないかぎり

患者も安全のために努力する必要があると思いますし、

腰や膝のような関節の痛みに関しては、

体重という要素がとても大きいので、

ある程度やせないと手術をしてはいけないという決まりを作って欲しいとさえ思います。

 

膝の人工関節は、こういう手術の中で、術後に痛みがなくなり生活が改善されることが多いので、メリットは大きいと思いますが、

脊椎の固定術なんかは、体に対する負担も大きい上に、何年かするとどこかしら症状がまた悪くなる人も多いです。

そのうえ、人工的なものを体に入れる手術は国の医療費に対する負担もかなり大きいです。

人工物を製造するメーカーの儲けも大きいのでメーカの力が大きくなり、リハビリに力を入れる気がなくなるわけです。

 

私の母親は、近所の整形外科医に両膝同時に手術をすすめられたので、1度やせてからもう1度考えて欲しいと言ったら、たまたま体調を悪くしてかなり痩せました。そうしたら、膝の痛みも楽になり、それきり手術の話はでなくなりました。

 

運動器の痛みは、筋力や精神的なものも関係しており、

必ずしも骨が変形していても必ず痛いかと言うとそうではありません。

つまり、どんなに整形外科的に骨の形だけをきれいにしても

痛みがとれない人がいっぱいいます。

それは、整形外科医もわかっているので、

まともな医者ならば、手術の同意書で症状が治らないこともあります

と必ず言います。

治らないことがあったり、むしろ悪化したり、たまに死んだりすることをお話しするのはたいてい入院した後の手術直前です。

やっぱりやめますと入院してから言う人はいません。

 

関節が痛いから気軽に整形外科で診てもらうことはよしとして、

医者も患者もどうせ痩せないから手術しましょうと手術日程を決め、

いろいろ検査をした結果を手術直前に見た麻酔科医が、内科的疾患を指摘するというパターンが少なくありません。

気軽に手術を受けた患者の症状が悪化するとあとあともめるのが整形外科につきものなので、とてつもなく同意書が分厚く、術前の説明が長い。

訴えられないように説明を長くするより、訴えられないようにきちんと患者の体調を整えるために教育する時間とお金をさけるシステムになってもらえないかと常々思っています。

 

私が、よくお会いする患者さんで、

よくあるパターンをお話しします。

膝の痛みのために人工関節置換術を予定されている患者さんです。

痛いから動けないし、ストレスで食べてしまうといいます。

太っていると麻酔も難しくなる説明のついでに

膝の手術が終わったら、今度こそやせてタバコをやめましょうと約束しました。

無事、手術が終わりましたが、

半年後には、術後の調子が良いから反対の膝の手術を受けたいと、再び来院されました。

体重は、以前より増加しています。

タバコもやめていません。

理由を問いただすと、膝の調子が良くなって元気になり食欲も増したため、

外食も増え、タバコも吸う機会が増えたそうです。

 

そして、もう一方の膝の手術をした1年後に、腰椎の固定術を行いましたが、

さらに数年後に腰椎の固定の追加を行いました。

 

たまたま、そういう人がいたというレベルではなく、

このような人がかなり多いです。

 

運動器疾患は、感染や寝たきりを防ぐ緊急手術でない限り、

何ヶ月でも手術を延期できることがほとんどです。

術前に強制的に痩せるようにするシステムが欲しいと思います。

 

最近は、リスクが高い手術よりも内服と検査で儲けられる骨粗鬆症の治療に走っている人が多いのを見ると、最終的にはいかにして儲けるかというところで、医師も操られているところがあり、そのへんを国がうまく誘導していくかが重要だと思います。

内科的な治療が発達し、どんどん高齢化が進む中で、

長生きしても動けなければ、意味ないので、運動器に関する整形外科、リハビリがより重要になっていくと思います。

アメリカは、朝、昼、晩ピザとドーナッツ食べて、100kg以上の体重で高血圧、糖尿病、脂質異常症の薬飲ませて、膝の人工関節置換術して麻薬で鎮痛したりしていますが、自分で保険入って金が払えないなら勝手に死ねというシステムなので、何の参考にもなりません。日本より規制が緩いので人体実験のような治療の良いところだけ参考にして、国民皆保険の日本人はつつましく生きたいものです。

車椅子やお年寄りにゆずりもせず、エレベーター使ってデパートの最上階のレストランで食べて何やっても痩せないなどと口に出して欲しくないものです。

 

麻酔に関してですが、

膝や股関節の手術は全身麻酔、下半身麻酔、硬膜外麻酔、いろいろな神経ブロックの併用など方法がいっぱいあります。

腰の手術は、全身麻酔でうつぶせにされるのが一般的です。

 

太っている人は、まず、点滴を含めて、注射が難しくなります。

簡単に言えば肉が邪魔して失敗しやすいです。痛い思いをしても効果が出なかったりします。

 

腰の手術は全身麻酔をしてから、うつぶせにされてから手術をされることが多いです。

このとき必ず息をする気管に管を入れて人工呼吸をすることで、窒息を防ぎます。

 

太っている人は自分の肉で肺が圧迫され、呼吸に悪影響を与えます。

肺は風船のように空気で膨らんでいますが、肉の重みでつぶれるということです。

腰の手術はうつぶせにされることが多いので、さらにいつもと違う状態で圧迫されます。

太っていると物理的に首が短くなり、胸が大きくなるので、気管に入れるチューブを入れる手技にも影響します。

 

つまり、太っていると全身麻酔をすると息が苦しくなるような原因を増やします。

 

薬の使用量は体重を元に決定されます。

太っている人は、普通の人と違っているので、本来使用される正しい量と食い違いが出てきます。

 

太っている人は胃液も多く、お腹の肉による圧力により逆流して、誤嚥しやすくなります。

 

患者さんが太っていると移動のサポートのたびに医療従事者の腰が破壊されます。

自分が太っているのに患者に痩せろと言うような医療従事者でなくとも、

腰痛に悩まされている人は多く、患者さんが太っているだけで負担倍増です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

医療用麻薬=鎮痛薬(素人向け)

強い痛み止めであるモルヒネ関係の薬を一番使いそうな患者さんは、癌で痛がっているお年寄りが一番多いと思いますので、なるべく簡単な言葉で使い方と気をつけることを説明します。

  • 医療用麻薬にはモルヒネオキシコドンフェンタニル、タペンタドール、メサドンなどがありオピオイドと呼ばれ強い鎮痛作用がある
  • まじめで細かい医者に処方され、まじめで勉強熱心な患者さんが適切に使用すれば依存症にならない
  • 基本的に癌の痛みに使う。もしくは手術や骨折、心筋梗塞などの強い痛みに一時的に使う。
  • ほかの鎮痛薬が効かない場合慢性腰痛症や変形性膝関節症などの慢性痛に関しても使用することがあるが依存症に注意
  • 強力な鎮痛効果があるが、すべての痛みに効くわけではない。
  • 治療にのみ使用すべきで、他人に使用したり、許可なく海外に持ち出したら犯罪

 

癌になってもそうすぐには死なない時代になりました。

長生きするだけでは、幸せともいえないので、

せめて苦しまないで死にたいと思う人が多いと思います。

癌が体中に転移すると痛みに苦しむ人もいますが、

癌に苦しむ人の特権として、痛み止めの中でも最強クラスの麻薬を使用することができます。

日本では、癌以外で麻薬を使用することはとても制限されています。

 

それは、麻薬は鎮痛作用は最強だけど、常に依存症のことを考えないといけないこと、

過剰に使うと呼吸が止まって死ぬかもしれないことから、

昔は、安楽死の薬のように使われていたからなのでしょうか。

 

昔からよく使われているために、いろいろな製剤があって一番有名な麻薬がモルヒネです。

今は、似たようなものがいっぱいありますが、似たようなものです。

麻薬を打たれると嫌がる患者さんをだますときにオピオイドというしゃれた言葉を使ってごまかす人もいます。

オピオイドはアヘン類縁物質という意味で、アヘン戦争のあのアヘンみたいなものということで、モルヒネっぽい麻薬をオピオイドといいます。

 

以下、わかりやすく医療用麻薬の代表として、モルヒネの話を主にします。

 

モルヒネの特徴として、切られたり、殴られたりしたわかりやすい痛みを和らげる効果がとても強いので、手術とか癌の痛みなどの強い痛みに対しての鎮痛薬としてよく使用されます。(モルヒネは麻薬の中でも呼吸の苦しさを減らすという効果もあります)

 

モルヒネは麻薬なので、どこも痛くない人がいっぱい使うと気持ちよくなって、精神的に依存します。やめられなくなるということです。

ギャンブルとかタバコもやめられなくなる気持ち良さにドーパミンという脳みそに報酬を与えるホルモンが出まくりますが、それに似た感じになります。

それだけじゃなくて、体も依存してしまうとモルヒネがないとかえって調子が悪くなってしまいます。精神と体と両方が依存してしまうということです。

 

しかし、なぜか、痛い人に痛み止めの量だけ使うと、精神的に依存しません。

てんびんやシーソー、やじろべえをイメージして下さい。

一方が痛みの強さで、もう一方がモルヒネの量です。

痛みが弱ければ、少ないモルヒネの量で

痛みが強ければ、大量のモルヒネでバランスがとれ、

バランスがとれていれば、精神的に依存しないので、

麻薬に溺れることはないのです。

ここが、ポイントです。

気持ちよくなることを目的にモルヒネを使用すると依存して人間をやめなければいけなくなりますが、

痛み止めと使用する分にはあくまでも痛み止めとして効くことになり、

真面目な人でも恐れる必要はありません。

 

では、なぜ、癌以外の病気の痛み止めとして使用することが制限されているのかといえば、

どれだけ痛いのか本当のことを知っているのは、患者さん本人だけなので、

患者さんが嘘を言っているのがわからない医師、もしくは嘘を言っていることを知っていて処方する医師がいるかもしれないわけです。

昔なら癌になったら長生きできなかったので、

死を覚悟した癌患者さんだけは、特別扱いなんです。

リウマチなどの癌以外の病気による強い痛みに関しても昔から一部の熱心なお医者さんが上手に使用してました。

最近では、そのような人に対しても使用できる麻薬が増えて、痛みに苦しむ患者さんにとってはいい世の中になりました。

しかし、一方で何も考えないで薬を処方する馬鹿な医者やヤクザに横流しする医者、とにかく儲けたい製薬会社や自分の内服薬の名前を覚えようともしない患者もいます。

 

癌患者さんに、モルヒネが使われるのは、

他の薬にはない特徴があるからです。

 

頭痛薬で使われる消炎鎮痛薬というような薬には、

最大用量が決まっていて、1錠では効かないからといって

1箱飲んだらとても効くか?というと副作用ばかり強くなって血を吐くことになります。

 

しかし、モルヒネはてんじょう知らずの効果があり、

痛みが10倍になったらモルヒネも10倍にするとそれだけ効果が上がります。

 

また、飲み薬、座薬、点滴などがあるので、食事ができなくなっても使用できるし、

使用してすぐ効くもの、半日近く効くものなどがあるので調節もしやすいのです。

 

ですから、今ではモルヒネを中心に、オキシコドンフェンタニル、タペンタ、メサドンなどの麻薬を使って癌の痛みを治療することが当たり前というかすすめられています。

最近は、飲み薬はオキシコドン、貼り薬はフェンタニル、点滴やその他はモルヒネを使用することが多い気がします。

 

これらの薬も、早く効くタイプと長く効くタイプがあり、

長く効くタイプの薬を使って、普段の痛みをとり、

急激な痛みには早く効くタイプの薬を使うとまともな日常生活を送ることができます。

 

痛みをコントロールできれば、他の病気で死ぬより癌という病気の方が死期をある程度予想してコントロールできるので、やりたいことがある人にとっては、思い残すことなく死ぬことができるとおっしゃっていた癌患者さんがいました。

宗教にはまっているポジティブな外人さんに、そういうタイプが多いので、

外国はやたらと麻薬を鎮痛薬に使用します。

 

日本では、いまだに、使用量は少なめなので、人権意識が低いとか外人からプレッシャーを受けます。

日本人は真面目だし、実際我慢強いし、麻薬以外にだって他の鎮痛薬や神経ブロックなどの方法もあるわけだし、癌の人は必ずモルヒネを使わなければいけないわけでもないと個人的には思います。

 

なんで日本がモルヒネを使う量が少なくて、遅れていると言われるかといいますといくつか理由があります。

 

  1. モルヒネ安楽死の薬という昔のイメージ

 昔はモルヒネを適量使うというやり方はせず、痛いのにずっと我慢してあと何日間しかもたないような状況で初めて大量のモルヒネを使用していました。弱っているときに大量にモルヒネを使うと血圧が下がって、意識はなくなり、最終的に呼吸が止まって死にます。まるで最後のトドメみたいに見えます。そういう時代を知っている人には、薬というより毒のように感じます

 

 2.モルヒネは薬物中毒者が使うやくざの薬のイメージ

 日本人は真面目な人が多いので、外国が解禁しているのだから日本も解禁しろと言うような人はyahooのコメントを書いているような人たちだけで、積極的に使いたがる人は多くはありません。逆にまじめに鎮痛目的で使っている患者さんに対して薬物依存者のレッテルを貼るような人が昔はいました。

 

 3. ちょうど良くモルヒネを使用するためには癌告知が必要

日本人は、自分ならば癌告知して欲しいと思っていても、他人に告知することを嫌がります。癌であることを隠された状態で、適切な薬の量を決めたり、副作用の話をしたりすることはとても難しいです。さらに日本人は長生きなので、患者さん本人も家族もみんなお年寄りで半分ボケていたりして、自分が何の薬を飲んでいるのかもわからない人の薬の調節は主治医のさじ加減になります。麻薬の使用をきちんと認識していない患者さんが、転んだ子供に痛み止めとして自分の麻薬をあげるような場合もあります。(貼り薬のタイプではただの湿布と認識されている患者さんがいます)

 

ところで、

モルヒネというと依存症の副作用ばかりが気にしてしまいますが、

痛み止めとして使用する限りは、むしろその他の副作用が問題になります。

 

一番、命に関わる重大な副作用は呼吸を弱くすることです。

たくさんのモルヒネを一気に使うと呼吸が止まります。

 

でも、普通はモルヒネのせいで呼吸が止まることはないです。

なぜか?

 

モルヒネの副作用は、

お薬を使用する量によってだんだん変わります。

最初に少ない量でも起きる副作用は、

吐き気やかゆみです。

 

少し使用しただけでも気持ちが悪くなったりかゆくなったりするので、

痛み止めの効果がでる前の段階でモルヒネを使いたくなくなる人もいます。

吐き気止めを飲んでいるうちにだんだん慣れていきます。

 

そして必ず便秘になります。

必ず便秘になることがわかっているので、モルヒネと便秘薬はセットで使います。

昔は、一般的な便秘薬の酸化マグネシウムやセンノシド、ピコスルファートなどをいっぱい飲みましたが今はスインプロイク(ナルデメジントシル)という特効薬のようなものがあります。

 

モルヒネが効いて痛みが和らいでくると

その先に眠気が襲ってきます。

 

眠くなってもまだ痛いような痛みに関しては、もうモルヒネはあまり効かない痛みなので、これ以上モルヒネの量を増やさない方がいいです。

 

眠くなってもさらにモルヒネの量を増やしていくと、だんだん呼吸回数が少なくなっていき最終的に呼吸が止まります。

 

ということで、眠くなったらモルヒネをやめれば、モルヒネが原因で死ぬようなことはほとんどないといっていいでしょう。

もちろん、そのような時には癌自体も悪化しているので命を落とす原因はいっぱいある状態です。

 

まとめますと

吐き気、かゆみ、便秘などの副作用はお薬で対処すれば大丈夫で、

呼吸が止まるほどの量を使う前に眠くなってそれ以上モルヒネを使いたくなくなります。

 

 

医療用麻薬の使用量は、患者さんとお医者さんとの信頼関係とコミュニケーションによって決まりますので、かかりつけ医制度がしっかりしていて、生きる目的が明確な外人さんはうまいこと利用している人が多いです。もちろん嘘を言って薬漬けになっている人も外人さんの方が多いです。

一般的な頭痛薬などの消炎鎮痛薬の重い副作用は胃潰瘍や腎障害です。

麻薬には、そのような副作用はないので、

お年寄りには、消炎鎮痛薬よりも麻薬による鎮痛の方が体に優しいという意見もあります。

しかしながら、こういうことを自分で理解し医者と会話できるしっかりしたお年寄りがいっぱいいるわけないので、癌ではない病気の鎮痛に麻薬を使用することは最終手段です。

なおかつ、癌ではない痛みでモルヒネが効かないものは多数あるのが現実で、最強の痛み止めの麻薬は、決してどんな痛みにも効く薬ではないことは、医者も忘れてはならない重要な点です。

もし、麻薬を処方してもらうならば、ころころ派遣先が変わる医者に処方してもらわずに、一生めんどうみてくれるようなかかりつけ医に処方してもらうことが理想的です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

乳癌 余命1ヶ月の花嫁の鎮痛

有名人が乳癌になったことを公表するたびに、自分も乳癌ではないかと診察を受けに来る患者さんが急増します。

早期発見し、治療をする機会が増えることはとてもいいことです。

昔は、乳癌は何科に行けば治療してくれるのかさえわからない人も多かったそうですが、インターネットの普及でそういう人も少なくなりました。

(通常は外科で治療します。乳腺外科という名前があるところもあります)

 

小林麻耶さんの妹のアナウンサーの小林麻央さんが残念ながら亡くなったことで、市川海老蔵さんの奥さんでもあったことから、誰もが乳癌に関心を持ったと思います。

さくらももこさんも若くして亡くなってしまいましたが、

北斗晶さん、南果歩さん、生稲晃子さんなど、治療後も活躍されている方も多いです。

 

アンジェリーナジョリーさんは、癌抑制遺伝子BRCA1に異常があるため、まだ癌になっていない段階で癌予防目的で卵巣や乳房を摘出するという特別な例もあります。(癌になる可能性があるだけで乳房を摘出することは一般的に行いません)

 

このような報道があると、自分が病気になったことをきっかけに、より家族を大切に思ったり、同じ病気で苦しむ人を少しでも減らそうと頑張っている女性がいっぱいいることを実感する反面、

そういう人たちのあらさがしをする悪意のある人達のネットなどでのコメントを見て残念な気持ちになります。

また、病気に苦しんでいる人につけこんで、高額な金銭を巻き上げる人達がいることも悲しいです。(乳癌になった方には女性が多いせいか占いや宗教、健康食品のようなものに騙されるような人が多い印象があります)

 

2007年に長島千恵さんという一般人の方が、24歳の若さで乳癌におかされ闘病中に恋人と模擬結婚式をする様子がTBSで報道されました。

その後、残念ながら、すぐに亡くなってしまいましたが、

そのテレビ放映の反響が大きく、2009年に余命1ヶ月の花嫁という映画が製作されるとともに、

ピンクリボンプロジェクトキャンペーンが展開されました。

 

もうちょっと詳しく言うと

長島千恵さんが、彼氏と付き合い始めた頃に乳癌になってしまいます。

乳房を切除したくない千恵さんは抗癌剤治療で頑張りますが、

抗癌剤での治療はうまくいかず、結局左乳房切除し放射線治療をした後いったん元気になります。

社会復帰し仕事を初めてすぐに肺のまわりの胸腔に転移し再入院。

骨の転移による痛みと肺への転移による呼吸困難。

本人は医師からの説明は拒否するが、親族に余命1ヶ月と宣告される。

お父さんの意向でそのことは本人には伝えなかった。

一方、ウエディングドレスを着たいという夢があることを聞いていた友人は、教会で写真を撮ることができるよう必死に手配する。

亡くなる直前に恋人と模擬結婚式を挙げたということでした。

 

テレビや映画で話題になるとなぜか悪意のあるバッシング報道がたくさん流されました。

 

TBSはよくヤラセ報道を行うので、TBSに対する不信感は仕方がないことですが、

ご本人の過去や父親、恋人、友達にいたるまで、誹謗中傷する人たちの気持ちがわかりません。

ネットでの無責任な発言だけでなく、週刊誌などでもあることないこと書きたてられていました。

人の死を商売にするなとえらそうなことを言っている週刊誌がいました。

人の人生をも左右させる内容を書き、人のふんどしで儲けていながら、なんて白々しい事をいうのでしょうか。腹ただしいことです。

個人的には、ご本人とご家族が納得されていれば、本来、誰のマイナスにもならないはずなのに、言論の自由が守られているとはいえ執拗にバッシングする人達がいるのが気持ち悪いです。

(映画の方も厳しい批評をする人がいて、世の中の一定数がめちゃくちゃ厳しい人がいることを知ってショックですが、これは感性の違いですから仕方ないでしょう)

「何しているの?」という問いかけに「生きている」と答える長島さんの映像を見て心を動かされない人がいることが不思議でなりません。

 

 

 癌で苦しんでいる人は、様々な状況にいますので、

不安や恐怖をあおられる人もいれば、

共感して勇気が出る人もいます。

そこが難しいところなので、できる限り真実を前面に出すことが重要になります。

 

例えば、乳癌の化学療法には吐き気や神経痛などのつらい副作用を伴うことが多いですが、

手術による体の負担はそれほどではありません。

どちらかというと精神的なつらさの方が大きいです。

 

癌の手術による治療は、癌の切除を目的としていますが、

内臓や骨のような体の奥の癌の場合、体にかなり負担がかかります。

それに比べますと、体の表面にある乳癌は、奥まで切除してもせいぜいリンパ節までなので、体の奥までいじりません。

ということは、体への負担も少なく、術後の痛みも比較的少ないものになります。

術後、普段と変わりなく生活するまで数日もかかりません。

しかしながら、女性にとって大切な乳房を切除する喪失感は強く、心のケアの方が重要かもしれません。

実際、患者さんの体調は悪くなく、手術も数時間もかからなかったにもかかわらず、

他の手術に比べて、手術前後に強い不安を感じてる患者さんがとても多いです。

手足を切り落とすとないはずの手足の場所が痛いという幻肢痛という症状がありますが、まれに乳癌の手術を行った人の中にも幻肢痛の症状が出る人もいるらしいです。

 

化学療法で辛い経験をされた人やご家族のことを考えると不安になってしまうことはとてもわかりますが、乳癌の手術は全身麻酔であっという間に意識がなくなり、わからないうちにすぐに終わってしまう手術です。

数日間少しつっぱるような痛さだけで済む人がほとんどです。

病院によっては、全身麻酔と併用して傍脊柱ブロックという背骨のわきに注射をすることで、さらに痛くないようにするところもあります。

 

乳房再建をする場合は、手術に時間がかかったり、何回かに分けて手術を行う必要が出てきますが、通常の乳癌の手術でしたら、あっという間に終わりますので安心してください。

 

手術や化学療法、ホルモン療法、放射線療法などで治療がうまくいかず、病状が進んで転移が伴うと様々な痛みや辛さがでてきて

緩和的な治療が必要になってきます。

 

TBSのドキュメンタリーの中で、

緩和医療の側面から見ると配慮してほしいことがありました。

 

どうしてもテレビ局がやってしまうことは、ドキュメンタリーだったとしても、視聴者が求める感動的な話にもっていく編集を行うことが多いです。

 

長島千恵さんの母親は卵巣癌で亡くなる直前に当時最期に使用される薬であったモルヒネを投与され、意識が混濁し会話ができなくなります。

そのことを覚えている千恵さんは、どんなに痛みが強くともモルヒネを使用しません。

 

病気に耐える健気な患者とそれを支える家族や友達という構図を作り出すため

病気や手術=辛くて怖いもの

痛みや苦しみ=耐えることがカッコイイ

という編集をしがちです。

結局、千恵さんには内緒でフェンタニルパッチという合成麻薬の貼り薬を使用したら、とても調子が良くなり、その威力は絶大で一時的に痛みから解放されました。

確か最初の頃の放送では、神様が最後に調子を良くしてくれた的な感じで報道されていたように記憶します。

もしかして、緩和医療関係者から指摘があったのかもしれません。

映画では、ちょっと少女漫画のようになっていたので、あまり医療的な話は出てこない内容でした。

 

テレビでも映画でも、若くて死と直面した女性が、死の間際に結婚式を挙げたことの方がメインの話だったので、もう少し、癌が見つかった経緯や、治療法、鎮痛法なども掘り下げた報道をしていれば、癌に悩んでいる他の人たちにもっと役だったのにとは思います。そうすると説教くさくて見る人が減ってしまうかもしれないところが悩ましいところです。

 

また、映画化の際にはピンクリボンプロジェクトを展開し、

多くの人が乳癌検診を受けることになりました。

その時点では、どのような検査が、どのくらい有用性があるのかということは、ほとんど議論されず、とにかく若くして乳癌になりたくなければ、検査を受けろというものでしたので、映画のキャンペーンに利用されたように感じる人もいたかもしれません。

 

死ぬ直前に安楽死目的のように使用されていた昔に比べて、

今は、癌の痛みをコントロールする手段がとても増えています。

きちんとした医者と鎮痛薬を理解した患者が使用すれば、

副作用は、吐き気とか便秘とかそういものが主で、

痛みが減ってかなり活動的になる人が多いです。

 

癌はポックリ死なない分、それを恐怖と感じる人が多いが、

死ぬまでに準備期間がある病気とも考えられるとある人が言っていました。

早めに鎮みに対処しておくと、

その準備期間にいろいろなことができるのだと。

 

余命1ヶ月の花嫁の映画では、

主人公は、親にも恋人にも乳癌のことを隠したままで、抗がん剤治療を行い、

副作用がばれて初めて周囲に知らせます。

これでは、早くから適切な治療を選択することも難しいです。

 

今の癌治療や鎮痛の質がなぜ向上したかといえば、

ただ医療が発展したことによるものではなく、

癌患者への告知が行われるようになったことも理由の一つです。

 

怖がりの女性を不安にさせないように、周囲が隠す場合も多いですし、

検査結果を聞きたくないという患者さんもいます。

しかしながら、

治療も鎮痛も、正しい情報がなければ正しい選択はできません。

ご本人に病気を隠したままではやれることは限られてしまいます。

病気になったら、ご本人も病気について勉強することが回復の早道です。

 

インターネットで簡単に調べることができる世の中ですが、注意も必要です。

病気で不安な人につけこむやからもいることです。

 

簡単にいえば、

  • 保険診療である治療ならばある程度信頼できる。
  • きちんとした医師がやっている学会の情報を見る。
  • 専門資格をもっている医師ならある程度信用できる。
  • 良いことしか言わない医師は、詐欺に近い。
  • 代替医療で治る病気は、何もしないでも治る。
  • 保険適応外の治療は人体実験ともいう。
  • 治療に詳しい人が鎮痛も詳しいとは限らない。

小林麻央さんもさくらももこさんもあやしい治療に高額なお金を使ったといううわさがあります。

お金持ちが、不安を紛らわせるために、どんなことにお金を使おうと本人の自由ですが、それにつけこむ輩は許せないですね。

基本的に国民皆保険の日本で、お金を積めば命が助かるというような画期的な治療法はないと思ってください。

きちんと保険料を払っていれば、平等にきちんとした医療を受けることができるのが日本の良いところです。

むしろ、小金持ちが、あやしい保険適応外の医療を受けて、ひどい目にあうことも多いので、注意してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薬物依存

依存性薬物

中枢神経系活動に対し促進的、もしくは抑制的影響を与える

 

「身体依存」

耐性や離脱が生じる状態

物質の摂取頻度や摂取量を増やさないと同じ効果が得られない現象を耐性という

薬物を抑制することで反跳性に中枢神経系、自律神経系の興奮を起こす現象を離脱という

「精神依存」

中脳腹側被蓋野から大脳皮質に投射する報酬系が絶えず興奮を求め個体自身の利益や安全性を無視して薬物探索行動を繰り返す状態

 

抑制系 中枢抑制薬

アヘン(麻薬) 精神依存、身体依存が大きい 

バルビツール(向精神薬

アルコール

ベンゾジアゼピン

有機溶剤(毒物劇薬) 入院する人でやっている人が昔は多かった 手を出しやすい

大麻 手を出しやすい

合成カンナビノイド系危険ドラッグ 

 

興奮 中枢興奮薬

コカイン(麻薬) 精神依存が強い

覚醒剤 入院する人でやっている人が一番多い 精神依存が強い

LSD

ニコチン

チノン系危険ドラッグ

 

 

「危険ドラッグ」

 

大麻覚せい剤などの中枢神経に作用する違法薬物に類似した物質

色々混ざっているから効果や副作用や治療法は誰にもわからない

乾燥植物片ハーブ

粉末パウダー

液体リキッド

 

交通事故、自傷、自殺、暴力行為で異常なバイタル注意

若年男性

様々な薬物も併用していることが多い

精神病と診断されていることも多い

 

症状

頻呼吸40-140回/分にも及ぶことがある

収縮期180以上の高血圧

体温38.5度以上の高体温

意識障害

不穏、興奮、不安、恐怖、錯乱、異常行動、痙攣、パニック発作、幻覚、妄想、振戦、嘔吐、悪心、動悸、胸痛、胸部苦悶感、失神

合併症

横紋筋融解症、肝機能障害、腎機能障害

 

Webster

オピオイド鎮痛薬乱用リスク因子

  1. 薬物乱用の既往
  2. 薬物乱用の家族歴
  3. 若年
  4. 思春期直前の性的虐待
  5. 精神疾患
  6. 薬物使用の日常化
  7. 心理的ストレス
  8. 薬物依存回復プログラムへの参加に関しての失敗
  9. 複数の薬物乱用
  10. 不十分な社会的サポート
  11. タバコ依存症
  12. 繰り返される薬物、アルコール依存症からの厚生歴
  13. オピオイド鎮痛薬への執着

 2015年 10月

医師免許取消1名

医療用注射器を覚醒剤の売人に販売した開業医

薬事法違反 懲役1年6ヶ月実刑 罰金100万円 

 

 

 

 

 

 

 

オピオイドの薬物依存(医療者向け)

ペインクリニックの患者さんのほとんどが、どこかの診療科でいったん治療されたが、痛みのコントロールが思わしくないために、どうにもならなっくなって見捨てられそうになった患者が最後に流れ着くというパターンです。

見捨てられた患者さんは精神的にもとても弱っているので、安易にオピオイドを使用すると薬物依存という悲惨な結果を生み出します。

もちろん、オピオイドが著効し、健康的な生活を取り戻すことができる人もいます。

 

すでに、いろいろな薬や治療は試され、どうにかしてくれませんか?

というときに、まだモルヒネはためしていないけど。ためしていいのか?

という時代が昔はありました。

 

昔は麻薬は禁断の薬であり、依存症、呼吸抑制を引き起こす危険な薬という認識であったため、慢性痛にはほぼ使用せず。癌の痛みに苦しむ患者の最期の薬=ほぼ安楽死という使い方がされていました。

過剰に使用されれば、鎮痛作用ばかりでなく意識が低下し呼吸抑制が起きるわけですから、適度に使用というよりも、神様が安らかにあの世に導いてくれるように最後にドーンと使用するという方式です。

 

麻薬というイメージを減らすためにオピオイドと呼ぶことが多くなった今では、

オピオイドは終末期の痛みをとるものとは限らず、早期から鎮痛緩和に積極的に使用する方針になっています。

 

鎮痛作用が生じる血中濃度は、眠気や呼吸抑制などの重大な副作用が起きる血中濃度よりも小さいことから、

鎮痛作用に有効な血中濃度を意識することで、安全に使用できるようになりました。

 

また、コントロールしやすい短時間作用で、代謝産物の影響が少ないフェンタニルやレミフェンタニルが加わったことで麻酔でのオピオイドを使用する機会が圧倒的に増加し、術後痛のコントロールにPCAが使用されるようになり、急性痛に関しては、オピオイド使用はほぼ必須になっています。

それは、急性痛ならば、短期間患者に投与するだけであり、手術室やICUなどの高度のモニターに守られている環境であるため、オピオイド投与は悪にはならないという意識があります。

そうなると何でもやりすぎる人はいるもので、急性期の管理ですら術中に過剰にオピオイドを使用することによってかえって痛覚過敏になったり、

ICUで漫然と使用している間に精神依存、身体依存の問題が出てきており、何日もオピオイドを持続投与している人は、いきなり中止するのではなく漸減することが望ましいです。

 

慢性痛に関しては

  • 死ぬ間際に使う安楽死の薬という悪いイメージがあること
  • 依存症に関してのリスクがあること
  • 神経障害性疼痛など効果が低い疾患があり鑑別するスキルがいること
  • 麻薬の使用には事務的にもハードルが高いこと

などから日本ではあまりオピオイドは使用されていませんでした。

日本ペインクリニック学会に行くと

加藤佳子先生というとても偉い医師が、慢性痛に関しての適切な使用方法をよく講演されていました。

加藤先生は、1988年から山形大学病院で、すでに慢性痛に関してモルヒネを使用することで、他の治療では困難であった痛みに苦しむ患者さんを治療されていました。

モルヒネ友の会という患者さんの会も設立され、患者さんの痛みの治療そのものだけでなく、モルヒネの使用=薬物依存という偏見を取り除くことにも力を入れて活動されています。

1989年にモルヒネ徐放錠が発売されたばかりですから、とてもすごいことです。

 

ペインクリニックにはいろいろな治療を試されてもなお改善しない患者さんが多いので、学会に行くとよく講演を拝見させていただいています。

 

加藤先生のお話では、

  • 昔からモルヒネは効きにくいという痛みに対しても効果がある場合がある
  • 患者さんと信頼関係を結び適切な使用量をコントロールすることで依存症はクリアできる

というものでした。

長年の実績はすごいもので、多くの患者さんの苦痛が取り除かれ、依存症になった人はゼロに等しいものでした。

 

ここで、いつも疑問に思うのが、同じことができる人がいるのか?

ということです。

 

加藤先生は、患者さんが薬物依存になるリスクを排除するために、最初の段階で精神的な疼痛などを徹底的に除外します。

また、患者さんのケアも徹底していて、自分の連絡先を患者さんに教え、常に連絡がつく状態にして、患者の人生に責任を持つ信念で行なっています。

 

加藤先生に1度質問させていただいたことがあります。

患者のオピオイド適応に関してのスキルがなかったり、患者の管理を徹底できない医師がオピオイドを使用できてしまう現状に関してどのような仕組みをつくることが良いのかご意見をうかがいたいとお願いしました。

加藤先生はそのような医師はオピオイドを治療に用いるべきではないと一刀両断しました。

 

自分の考えでは、加藤先生のようにできることの方がすごくて、

ほとんどの医師はそうでないと思っています。

 

なぜなら、

精神的な心因性疼痛を除外するためには精神科的なセンスが必要ですし

毎年、職場が変わるような勤務体制の医師の場合、患者のfollow upを継続して行うことはできませんし、患者の人生を負うような責任感のある医師ばかりではありません。

 

麻薬処方箋の手続きが必要になるたびにオピオイドがなかったら麻酔をかけられないのかと嫌味を言う外科医も私の身近にいます。

 

オピオイドの慢性痛に対する使用が認められた頃に、製薬会社から説明会がありました。

適正使用のためにe-learningを受ける必要があると言う一方で、

整形外科医から難しくて意地悪問題のように感じるとか、忙しいのに何十分もやってられないとか言われるので、名前とメールアドレスを提出してもらえば、e-learningを受講したことにしておくと言われたことがあります。

 

慢性痛に対するオピオイドの適正使用を開拓したのは加藤先生のような偉大な医師達ですが、実際の使用には性悪説でルールを作らなければ、その業績も台無しになってしまします。

 

 

 

その点、真面目な日本人は、薬物依存に関する警戒心は非常に強いため、まだアメリカのように最悪の状態にはなっていないので、今のうちにルールづくりに力を入れています。

 

日本ペインクリニック学会の講演では、

山口重樹先生がアメリカのオピオイド乱用の状況と日本でのルールづくりに関してたびたび話されているのを拝見させていただいています。

 

アメリカは1990年頃から慢性痛に関してオピオイドが使用され、2010年くらいまでに4倍くらいに売り上げが激増しています。

医師の処方箋が出たオピオイドは、純度の低い違法薬物と比べて安全性も高いため、

pill millsと呼ばれる悪質な診療所や薬局にオピオイドを求めて列を作るところさえあるようです。

そのためオピオイドの過量投与による死亡率も急増しています。

 

 

薬物依存症になる大きな原因の一つは多幸感であるため、

オピオイドの中でもより注意が必要なのは、急激に血中濃度が上がるタイプの短時間作用性のものです。レスキューとして必要なものですが、セックするときにハイになって気持ちいいとかいう使いかたができるため依存症になりやすいわけです。

そもそも短時間の突出痛を短時間作用性の薬でコントロールするのには無理があって、基本的に血中濃度を安定させて、突出痛自体の回数を減らすには、長時間作用するものの方が疼痛管理としても依存を減らすためにも良いことになります。

気持ちよくなりたくてオピオイドを使用するのではなく、痛みをやわらげたくて使用するのですから。

基本的に徐放剤は血中濃度が安定するために急激な多幸感が現れにくいのですが、そこをクリアするためにわざと噛み砕いて一気に血中濃度を上げて気持ちよくなることまで編み出す人もいます。

噛み砕いてもゆっくり吸収されるように製薬会社も対処したりしているみたいですが。

そういう意味で、飴みたいなタイプのオピオイドは悪用されるのをわかっていて作っているのではないかといい気分がしません。

 

癌性疼痛に関しては、他の疾患に比べて、様々な薬の使用にとやかく言う人は少ないです。日本では、痛みに耐えてこそ美徳のような精神があったため、癌性疼痛でさえ、適切にオピオイドが使われることは少なく、昔は死ぬ直前に安楽死のように使用されるくらいでした。今でも、かなり痛みが悪化してから使われることが多く、日本の癌治療は、忙しい内科医と外科医が様々な癌治療の片手間に行うものですので、痛みに関する知識はかなり低いため早期からオピオイドを使用されることは少ないのが現状です。

 

こんなんじゃ先進国とは言えない!ということで、癌の痛みに関して早期から介入しオピオイドの使用の敷居を低くする運動が行われており、ろくにオピオイドの種類も知らない研修医が数日間講習会を受けると長年、患者を治療している講習会を受けていない医師よりオピオイドの処方で金銭的に優遇されるようになっております。

緩和医療による講習会を受けた人が、癌性疼痛目的の麻薬処方をした場合、がん性疼痛緩和指導管理料が算定されるわけなんで病院も講習会に行かせてくれるわけです。

お金がかかってこないと、何日も講習会を受けようなんて思わないので、仕方のない話ですが、たかが、2日ディスカッションしたら麻薬スキルアップというのも納得いきませんが、おかげで若い外科医は、麻薬処方箋の手続きが面倒だからオピオイドを使用しないといいません。

 

緩和医療の講習会で、すごく違和感を感じるのは、オピオイドの作用機序などの話はわかっていものとして、かなりの時間が癌の患者さんとの診察の仕方とか、ロールプレイングとかに時間を割いてしまっています。かなり自己開発セミナーとか会社新人研修に近い感じです。医療従事者として必要でないとはいいませんし、緩和医療を全人的な医療としてとらえているのはわかりますけど、科学的な事実は、知識がない人が集まって話し合っても新しいものが出るわけではなく、頭の良い医師や薬剤師が発見したものを学ぶしかないと思うのですが、その時間はたいへん少ないです。

 

ここで、自分として危機意識をもつのが、新人研修医や看護師に対して、

オピオイドの使用量はアメリカと比べて日本はたいへん少なく、先進国として恥ずかしい状況にある。という統計を前提とし、日本人の麻薬に関する否定的な意見を減らすためのテクニックを学ぶことに多くの時間を割いていることです。

(先に述べたように、アメリカだけオピオイド使用量が高いのは薬物依存者がいっぱいいて急性疼痛にも慢性疼痛にも下品な使用をされているから)

確かに、オピオイドの使用を患者さんが極端に怖がることによって、医療従事者としてもっと楽にしてあげたいと思うことは当然の気持ちですし、外人から見て日本の人権は低いとかなんとか思うのは仕方がないところがあります。

ですから、医療従事者側はきちんとした知識を持つことが重要ですし、オピオイドを使用されている患者さんへの偏見をなくすように努力すべきです。

 

でも、講習会では、麻薬というと患者が怖がるのでオピオイドという名前にしましょうとか、言い方が悪いですがオピオイドを拒否している人をだます方法まで話し合います。もちろん、ディスカッションということでガイドラインというわけではないのですが、数日間、自己開発セミナーのようなスケジュールでオピオイドを使うことを促進させようというやり方に製薬会社は関与していないのか疑ってしまいます。

 

癌性疼痛においては

昔のように癌になったらどうせ死ぬのだから細かいことは言うなよというスタンスではなく、癌になっても長生きするし、場合によっては治療したら治ってしまう人もいる現代では、痛ければオピオイド使い放題というわかにはいかなくなりました。

ケミカルコーピングといって本来の処方箋医薬品の使用目的とは異なる不正使用を繰り返すうちに薬物依存に移行してしまう可能性があります。

具体的には、なんだか、眠れないからとか嫌なことがあったからとか不安が強いとかの理由で、睡眠薬のようにオピオイドを自己判断で使用する可能性があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薬物依存を作らない(医療用麻薬)

麻酔やペインクリニック、緩和医療では、鎮痛目的に医療用麻薬を使用する機会が多いです。

 

私は、

誰にも理解してもらえない強い痛みに悩んでいる患者さんを知っているので、

強力な鎮痛作用を持つ医療用麻薬の使用に反対の立場ではありません。

治療に麻薬を使用している患者さんの差別や偏見を助長したり、不安をあおる意図はなく、強い効果と副作用を正しく理解し使用して欲しいと思っています。

 

最近、私が思っていることは、薬物依存をおそれる真面目な日本人の精神を大切にして欲しいという気持ちと、薬物依存になりやすい体質や悪い環境のことも配慮して欲しいという2つの気持ちがあります。

ここでは、薬物依存の中でも、医師が処方する正規の薬を中心に、その中でも医療麻薬に関してお話しします。

(*医療用麻薬は適切に使用すれば最強の鎮痛作用を持つ薬ですので適する患者さんにとってはとてもよい薬です)

 

ポイント

  • 医療用麻薬の使用量は痛みの強さに比例して投与量も多くなるが、その量を決めるのは正直な医師と正直な患者との話し合いで決める。
  • 真面目な日本人は依存症になりにくい環境だが、いったん依存症になると助けてもらえない。
  • どんな薬でも、適切に使うことが重要であって、医師と患者の信頼という嘘くさい言葉に依存しないで、医師も患者も勉強して現実を見る必要がある
  • アメリカ医療=最新で正しい」と考えるのは全米が感動した映画の宣伝をありがたがるようなもの

 

最近の流れとして、高齢者社会→癌患者が増える→緩和医療に力が注がれる→鎮痛薬として医療用麻薬の使用が広がる

というものがあります。

 

これは、先進国で、痛みの治療が重要視されているのに対して、日本人は我慢強いのをいいことに痛みの治療が遅れているという指摘があり、

その圧力からか、最強の鎮痛薬である医療用麻薬の使用を推進することが国の方針となり、医療用麻薬の使用方法の講習会を受けた医師が処方すると、そうでない医師が処方するよりちょっとお得になるような制度になりました。

そのため、若手の医師は、昔の医師に比べて医療用麻薬を使用することに、抵抗は少なくなってきているように感じます。

 

なぜこのような事態になったかといいますと、

真面目な日本人は、もともと西洋人に比べて痛みに強い、もしくは我慢することに美徳を感じる文化があります。

麻薬や覚醒剤というものに関しては、覚醒剤やめますか人間やめますかという名キャッチコピーがあったように、麻薬や覚醒剤に関わった人は廃人か死かというイメージがずっとありました。

医療用麻薬はたいへん強力な鎮痛作用があるわけですが、

昔の使用方法は、どんなにつらい痛みも耐え抜き、余命数日という頃になって、最期の最後の苦痛を取り除くために医療用麻薬が使用される時代が日本では長く続きました。

死の数日前に大量に使用する方法は、鎮痛薬というよりも安楽死のようなものに近く、

これが医療用麻薬=安楽死のような印象を作ってしまいました。

 

しかし、医療用麻薬は適切に使用すれば、副作用は便秘とか吐き気が主なもので、長期に使用してもそれほど危険ではないことや、痛みが強い時に使用した場合、依存は起こりにくいことがわかると、最強の鎮痛薬として使用される機会が増えたわけです。

 

外人はそこらへんの割り切り方は、スパッと行うので、

医療用麻薬による痛みの治療の機会はどんどん増え、日本だけ取り残された感じになりました。

日本でも、どうしても医療用麻薬による強力な鎮痛薬による治療がないと生きていけないような人のために、頑張った医師がいたのですが、そのような医師は、普通の医師では真似できないようなきめ細やかさを持った特別な医師であったため、一般の医師は、ずっと現状維持でした。

唯一、麻酔科医だけが、後ろめたい気持ちなく医療用麻薬を麻酔で使用していました。

そして、ここ、10年くらいで一気にそこらへんの医師が医療用麻薬を使うようになるわけですが、

わかりやすく正義と悪の要素で分けてみたいと思います。

 

「正義の力の要素」

  • 高齢化社会で、癌患者はうなぎのぼり。身体中が痛くなる病気もいっぱい。最強の鎮痛薬である医療用麻薬を使う機会が増えて当たり前。
  • 適切に使用すれば、怖いことなんてほとんどない。
  • 日本人が我慢しすぎで外人はもっと我慢しないで人生楽しんでいる

「悪の要素」

  • 適切に使用しないで依存症を作り出している人がいる
  • 依存症を作り出していることに目をつぶって儲けている会社がある
  • 自分が医療用麻薬を適切にきめ細かく使用できないタイプの医者だと気づいていない人がいる

 

まず、麻薬の中で代表なのは、モルヒネですが、

切られたりした痛みをやわらげる力がとても強いです。

そして、不思議なことに、痛いときにモルヒネを使った場合、依存症になりにくいんです。

つまり、痛いときだけ使って、痛みがなくなったらやめれば安全ということになります。

依存症にはならないので、副作用は、かゆみや吐き気や便秘みたいな些細なものなのに鎮痛効果は絶大!

じゃあ、なぜ依存症の人がいるのか?というと、痛くもないのに、酔っ払ったような気分になりたくて使用すると、何度も幸せな気分になりたいという精神的な依存と、急にやめると体調が悪くなるという身体的依存症になります。

世の中、バランスが重要ですが、鎮痛作用を無視して欲望が勝ってしまった状態です。

 

これが、いわゆる薬物依存症であり、ほとんどの人が痛いから麻薬に手を出したのではなく、タバコやお酒のような嗜好品の延長、ギャンブルのような興奮、現実の嫌なことを忘れるために使用すると生涯麻薬の奴隷になります。

なぜ痛みがある状態だと、依存症になりにくいのか諸説ありますが、詳しいことはわかっておりません。

 

すごく昔の医者は、末期の癌患者の場合は、どうせすぐに死んでしまうのだから、依存症なんか無視してもいいし、安楽死になってむしろ感謝されるだろうというところから、最期の最期に大量の麻薬を使用して鎮痛作用を通り越して眠気と呼吸を抑制する作用で死期を早めたらしいです。

 

そのような時代でも、適切な量を使用すれば、患者の死期を早めるどころか、痛みの少ない充実した生活を手助けすることができると上手に治療した優秀な医者もいました。

この時代は、いかに麻薬の恐ろしさよりも鎮痛作用の強さの素晴らしさを一般の医師に広げることに苦労した時代です。

 

そして、現在、モルヒネと似たような医療用麻薬があふれています。

モルヒネフェンタニルオキシコドン、タペンタドール、メサドンなどなど

患者さんの選択肢が増える=いろいろな条件下でも使用できる

 

という鎮痛に関しては良い時代になりました。

 

その反面、

麻薬の強い鎮痛効果を広めようとした医師の気持ちを台無しにするようなことも増えました。

それは、適切に使用すれば依存症を作らないという条件は、良心を持った医師と患者において初めて作り出されるものであって、それを破壊する存在があることです。

世の中、性善説でルールを作ると必ず悪いやつが出てきます。

陰謀論のようで申し訳ありませんが、製薬会社の悪意が存在します。

それで利益を得る人たちは少なからずいるはずです。

 

たとえば、

私はいろいろな緩和医療の講習会をなんどか受けましたが、

必ず、他の先進国の麻薬の使用量に比べて、日本の使用量は圧倒的に少ないということは、日本の医療が遅れているという話が最初に出ます。

だから、もっと麻薬を気軽に処方することが、良い医者なのだという流れです。

教えている方が本気でそう思っている善意の医者なので、麻酔科出身ではない若い医師の受講者のほとんどがそのまま信じます。

そのときの説明に出てくる統計では、圧倒的にアメリカが麻薬の消費量が群を抜いて1番です。

日本は確かに消費量が少ないのですが、他の先進国もアメリカに比べればかなり少ない量です。

これは、アメリカが世界一の先進国だからではなく、アメリカが世界有数の麻薬依存者生産国だからです。

緩和医療の講習会はこのことに触れません。

(つい製薬会社が儲けたいからなのか?と考えてしまいますがどうなんでしょうか?)

 

患者が、麻薬による治療を拒否した場合、どのような解決方法があるか話し合った場面もありました。

その解決方法の中に、「麻薬」とか「モルヒネ」という言葉は使用せず「オピオイド」という言葉を使用すれば患者に不安を与えないというアドバイスがありました。

オピオイド」というのは医療用麻薬の専門用語であり、呼び名を変えただけです。

患者に対して、メリットとデメリットを説明した結果、患者がデメリットだと感じ、すすめられた治療を拒否することになんの問題もないわけですが、

同じ治療方法をしておきながら、呼び名を知らない言葉に変える解決方法を提案することに私は悪意のようなものを感じてしまいました。

 

アメリカと日本の違い」

 

日本人は我慢強くて真面目なので、手術などの急性痛に麻薬をしようしても

慢性痛にはあまり使用しません。

使用できる病気もいくつかありますが、麻薬の管理がとても厳しいので、多忙な医師にとって使用するハードルが高いです。

日本は、

中国鍼、漢方薬、マッサージ、温泉

神経ブロック

などの痛みを緩和する手段が多数あり

国民皆保険であるために、一定の水準の医療を平等に受けられます。

 

アメリカでは、巨大で肥満の患者に不器用な医者が神経ブロックをすること自体が難しく、保険に入っていない人も多数。

保険会社も製薬会社と仲良くしています。

そこら中に危険な薬物が出回っているため、

不純物がない医療用麻薬はむしろ安全な嗜好品となります。

膝や腰が痛い肥満患者はいくらでもいますので、患者のふりをすれば簡単に麻薬を手に入れることができます。

そんな環境ですので、世界トップクラスの麻薬依存大国になってしまいました。

その結果、医療用麻薬で死亡数No1国です。

 

(私の記憶が正しければ)

かなり昔のERというドラマの中で、こんなシーンがあります。

事故で手を骨折して救急に運ばれてきた患者さんが医師に言います。

「麻薬をやっとやめられたばかりなんだ。モルヒネを使わないでくれ」

そう言われた医師は、忙しいのに面倒なこと言う患者さんだなと思ったのか、患者の気持ちは無視してモルヒネで治療をします。

私は麻酔科医なので、きっと神経ブロックの出番だと麻酔科医の登場を待っていたのですが次のシーンに移り、それでそのことに関しては終わり。

アメリカのERのあるある会話というだけで、それだけでした。

日本のドラマだったら、それだけで1話作るのに。

 

ザ世界仰天ニュースという日本テレビの番組では、

アメフトで骨折した学生に対して、骨折が治った後もモルヒネを漫然と処方し続けたために、薬物依存症になった話がありました。

処方の仕方も、頭痛薬のように痛いときに飲んでくれと気軽に渡していました。(テレビ番組なのでどこまで真実かわかりません)

日本ならば、手術のときだけ使用するか、骨折が治っても痛みが悪化するような特別の場合だけ使用します。

 

日本では、薬の承認が非常に厳しいため、

同じ医療用麻薬でもアメリカと日本では適応が違います。

日本での医療用麻薬の適応の大部分は手術での麻酔薬としての使用と癌の痛みのみといっていい状態です。(ごく一部の慢性痛にごく一部の医療用麻薬が適応されます)

対して、アメリカはかなり広い分類の痛みにも使用できますので、お手軽さがまったく違います。

 

確か、トヨタの重役のジュリー・ハンプさんという女性が日本に来た時にオキシコドンという麻薬を所持していた時に捕まりました。

関節痛に対して処方された鎮痛薬が、

ネックレスと記載された小包に57錠も入っていたため、捕まってしまったらしいです。

海外で関節痛で処方してもらえることは事実ですが、

オキシコドンであろうと麻薬を日本に持ち込むときは、きちんと届けなければなりません。

ニュースでは、申請を忘れただけであり、日本の厳しさは異常だ日本は遅れているという意見がありました。

しかしながら、オキシコドン錠を噛み砕いていい気持ちになるという違法の使用方法として使う人は世の中にいるわけで、なんでもアメリカを見習えば正しいとは限らないと個人的には思います。

 

日本で関節痛で医療用麻薬を処方してもらうには少しハードルが高いのですが、

麻酔科医にとっては簡単な数十分の試験を受ければ処方できるようになります。

これにも、私は不信感を抱いていまして、麻酔科医にとっては簡単な内容でたかが数十分しかかからない試験内容を、難しいもしくは面倒だと言っている医師のために試験をやったものとして配慮しますと言っていた製薬会社がいました。

そもそも麻薬の使用方法の基礎すら理解できない人は処方してはいけないでしょう。

製薬会社は

臨床で手術で忙しいせっかちな整形外科医や開業医さんが多くそれにこたえるために現場の勇み足だと言っていました。

もちろん、国家試験のようなきちんとした試験ではなく、倫理的にメーカーが行なっている程度のものなので、法律違反というものではありませんが、製薬会社のスタンスが垣間見えました。

 

自分は、ペインクリニックで、どうしても医療用麻薬の強力な鎮痛作用がなければ生きていけない痛みに苦しんでいる患者さんを知っているので、

こういう人たちのおかげで、本当に苦しんでいる人をさらに苦しめているのではないかと腹が立ちます。

 

ちなみに現在のように日本で使用できる医療用麻薬がほとんどなかった時代にありながら、患者のために工夫して痛みの治療をしていた医者の話を聞きますと

徹底的に患者さんの病気や精神状態を調べ

患者が嘘をついていないかわかるように信頼関係を構築し、

副作用で困ったときはいつでも連絡つくように自分の個人の連絡まで教え、

依存症になる可能性の患者の要求はきっぱり断るというような

簡単には真似できない診療をしていたようです。

その患者さんを死ぬまで見続ける意気込みや信念をお話から感じました。

 

残念ながら、

現在は、聖人ではない医者でも処方するため、

来月から、違う病院に行きますので、次の医者に診てもらってくださいというようなノリで処方した結果、収拾がつかなくなって、最終的にペインクリニックに紹介されるような患者さんを見かけます。

 

このままでは、アメリカのように薬物まみれになってしまうのか?

と心配になってしまいますが、

日本人の真面目さは捨てたものではなく、

日本麻酔科学会、日本ペインクリニック学会は、

医療用麻薬の使用に関して厳格化する流れですし、

正しい知識を広げようと努力しています。

 

じゃっかん、頼りないのが(私の周りにいる)ラテン系の整形外科医の人で

①あらゆる鎮痛薬ドバッと処方→ほら効かないでしょ?→手術しよう

②手術したけど改善しない→あらゆる鎮痛薬をドバッと処方

③開業したけど手術が出来ない規模の病院なのであらゆる鎮痛薬をドバッと処方

という3パターンをよく見かけます。

 

このぐらいシンプルな生き方をしている人の多くが、麻薬の依存なんて細かいことを気にする性分ではないので、とても心配です。

 

それとは別に

昔ながらの癌の痛みに対する治療も少しずつ変わってきています。

 

一つは、癌になってもすぐに死ぬ時代ではなくなったことです。

昔なら、癌になった人はすぐ死んでしまうことを前提に麻薬を処方したので、

依存症なんてささいなものでした。

現在、癌になっても長生きする人はいくらでもいますので、

バカみたいに量を増やすと依存症になる可能性が出てきます。

癌が治って、薬が必要なくなる人もいるわけで、どうやって薬をやめていくのかという計画も必要です。

 

もう一つは、癌になるのは高齢者が多いわけですが、

高齢者になればなるほど、薬の管理が自分でできなくなったり、説明を理解できなくなってきます。

麻薬の量は適切に使うから安全なのであって、サプリメントのように使用することはできません。

どこがどのように痛いのか説明できない人に、適切な量を決めることは極めて難しくなります。

あまった薬をためこんだり、知人にあげてしまう高齢者もいます。

患者の生活環境まで配慮して薬を処方する医師は、思ったより少なく、

実際に少しでも診察が遅れるとイライラされる忙しい環境で、理解力が低くなった高齢者の生活環境まで医師が聞き出せるのかといったら無理だと思います。

 

現在の医療麻薬の使用はかなり安全になりましたが、

まじめな日本人は、いったん依存症になった人を助けるようとしません。

そこが、最大の落とし穴です。

基本的に薬物依存患者を治療できる施設が日本には極めて少ないのが現状です。

施設で治療したからと言って本当に治るかと言ったら、難しいのではないでしょうか。

そうすると現状では薬物依存を作らないように注意することしかないでしょう。